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若者のFacebook離れは本当に起きているのか?

米国の市場調査会社Frank N. Magid Associatesのレポートによると、アメリカでは10代のFacebook利用者数が減少しているという調査結果が報告されたようです。

それによると、13歳〜17歳の利用者数が2012年の95%から2014年は88%へ、5年間で約7%減少したといいます。他のソーシャルメディアと比べてまだまだ圧倒的に利用者数が多いFacebookですが、何が原因で10代のFacebookユーザーが減少しているのでしょうか。

日本でも2006年ごろに「mixi疲れ」と言われる現象が話題になりました。当時、ソーシャルメディアとして日本で最も多くの利用者を抱えていたmixiでは、友達(=マイミク)との日記のコメント交換などが主要なコミュニケーションの手段でした。そのため、コメントをもらうために日記を書き、コメントをくれた人の日記にもコメントを書くというサイクルを繰り返すあまり、日記やコメントを書かなければならないという義務感に苛まれてしまい、やがてmixiの更新を止めてしまったり退会してしまったりするという現象です。

では今のFacebookでも同じようなことが起こっているのでしょうか?

匿名制のソーシャルメディアでは、お互いの素性を知らない人間関係の中でコミュニケーションが行われることも多いため、マイミクの申請やコメントなどの交換は、現実世界の人間関係に影響がなければそこまで気を使わなくても良いケースも多かったのではないかと思います。

一方でFaceboookは実名制のソーシャルメディアであるため、匿名制のソーシャルメディアと比べると面識のある人からの友達申請やコメントが多く、対応の仕方によっては第3者も含めた人間関係に悪影響を与えてしまう可能性があります。そのような意味では匿名制のmixiよりも反応しなければならない義務感は強いと言えるのではないでしょうか。

また、アメリカでは日本よりも幅広い年代のユーザーが利用しているため、友達と自分の親が友達になるケースも出てきてしまい、友人との会話が親に知られてしまったり、逆に家族間の会話が友達に筒抜けになってしまったりすることが若者のFacebook離れを引き起こしている一因になっている可能性があります。

もちろん、自分の投稿が誰に公開するかを制限する手段はFacebookに用意されているのですが、自分が情報を非公開にしても友達が一般公開した写真に自分が写っているような場合もありますので、自身に関する情報をコントロールするのは難しいでしょう。

ではそのような若者たちはどのようなサービスを使っているのかというと、Facebookの「Messenger」や「WhatsApp」といったクローズドなメッセージングサービスでのコミュニケーションが主流になってきていると言われています。日本ではFacebookの国内ユーザー数が2,400万(2014年11月時点)であるのに対して、Lineは5,400万人(2014年9月時点)となっていますので、サービス全体で見てもLineがユーザー数を大きく上回っているような状況です。

とはいえ13歳〜17歳の88%がFacebookを利用している訳ですから、若者の大多数が利用している状況と言っていいでしょう。それにFacebookは幅広い年齢層で利用者の日常生活に深く入り込んでおり、サービスの業績面を見ても堅調に売上や利益を拡大させていますので、ユーザー数が急減するという事は考えづらいでしょう。アメリカの10代の利用者が減少している現象はFacebookが衰退しているというより、ユーザーが状況によってコミュニケーションの手段を使い分けているということではないかと考えられます。
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