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SNSの顧客対応がマーケティング効果を台無しにする

「悪事千里を走る」と言いますが、ソーシャルメディアが普及した現代において千里(=約4,000km)は例え話ではなく、実際、世界中にネガティブな悪評が広がってしまう可能性があります。

ソーシャルメディアの活用がうまくいっている場合には、顧客一人一人との関係構築や情報拡散によるブランド認知の向上といった利点がありますが、一方で、顧客との関係が悪化した場合には、その顧客が抱いた不満が容易に拡散され、評判を一気に下げてしまう恐れがあるのです。

顧客の中には企業が運営するソーシャルメディアアカウントをカスタマーサポートの窓口と捉える人たちがいて、問題が発生した場合に不満をぶつけたり、適切なサポートにより問題が解決されることを期待しています。

現状では多くの企業がソーシャルメディアでの対応を十分に行っていません。ある調査によると、ソーシャルメディア上で受信したメッセージのうち、約88%が返信されていないという驚くべき結果が発表されました。2015年上半期だけでも状況は悪化しており、企業に届くメッセージの数は21%増加する一方で、返信率は2.5%減少、返信に要する時間は4%上昇しています。

ソーシャルメディアで企業から期待通りの反応が得られない顧客は当然不満を抱きます。

SDL社の調査によると、代表的な不満として
・返信が遅い(35%)
・担当者が協力的でない(31%)
・担当者がスキル不足(30%)
・案内が不正確(29%)

といった内容が上位に挙げられています。

そして、ソーシャルメディア上の対応に不満を抱いた顧客は以下のような態度を取ってしまいます。
・他人に勧めるのをやめる(66%)
・競合他社への乗り換えを検討する(30%)
・批判的な書き込みをする(12%)

このことから、ソーシャルメディアにおける顧客対応の結果によっては、ビジネス全体に悪影響を及ぼし、経営課題にまでなり得る可能性があります。

逆に上手くクレーム対応をすると、クレームがなかった場合よりも良い印象を与えられます。ソーシャルメディアではそれがオンライン上の公開された場で行われるので、さらに良い連鎖を生み出すことが期待できるでしょう。

ヨーグルトを製造するChobani社は、優れた顧客対応からソーシャルメディアを使った顧客サポートの好例としてしばしば取り上げられます。例えば冷蔵庫から出したヨーグルトが爆発しそうなほど膨張していたことをツイートされた場合、その顧客に対してその7分後に返信を行い謝罪とEメールでのサポート先を案内しました。さらに、数日後には謝罪の手紙と無料クーポンが届いたそうです。

ソーシャルメディアを最大限活用しようとする場合には、顧客のポジティブな意見だけでなくネガティブな意見に対する対応方針を予め策定しておき、いざ問題が発生した時には、迅速に優れた顧客体験をもたらすことが求められているのです。
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著者:Takayuki Sato