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公営競技のSNS担当者が陥りやすい三つの失敗とその回避策

近年、公営競技は単なる結果消費型の娯楽から、スポーツエンターテインメントや週末のレジャー体験として再定義されつつあります。若年層や女性層の来場が増え、SNS上では選手や競走馬、開催地そのものが「応援」や「共感」の対象として語られる場面も増えてきました。一方で、SNS担当者の多くが「投稿しているが反応が伸びない」「安全性への配慮と表現の幅のバランスが難しい」「ファンが定着しない」といった課題を抱えています。
本記事では、公営競技のSNS運用において担当者が陥りやすい三つの失敗を整理し、その背景構造と回避策を、現在のSNS環境に即した視点から解説します。

失敗① 情報告知に偏り、背景や物語が伝わっていない

結論から言えば、開催日程や出走情報、結果速報といった事実情報だけでは、現在のSNS上で十分に届きません。理由は、主要プラットフォームが情報の正確さよりも「理解のしやすさ」や「滞在時間」を重視する設計に変化しているためです。
公営競技のSNSでは、正確性を優先するあまり、投稿が掲示板的になりやすい傾向があります。しかし新規層は、結果そのものよりも、選手や競走馬の背景、準備の過程、関係者の役割といった文脈を通じて競技を理解します。
海外のスポーツ団体では、試合前後の舞台裏や、選手の日常を切り取った短尺動画が高い評価を得ています。国内の公営競技でも、施設運営の工夫や安全管理の裏側を可視化することで、競技そのものへの理解を深める事例が増えています。
回避策としては、告知を減らすのではなく、告知に至るまでの「理解の積み重ね」を意識した構成へ転換することが重要です。

失敗② 数値だけを追い、健全な評価軸を見失っている

再生数やフォロワー数だけで成果を判断すると、SNS運用は短期的な消耗戦になりがちです。現在のSNSでは、必ずしも再生数が理解度や信頼度を反映するとは限りません。
海外では、保存やコメントの質、プロフィール遷移といった「行動の深さ」を重視し、ファン化の度合いを測る運用が主流になっています。国内の公営競技でも、質問コメントへの反応やシリーズ視聴の継続率を見ながら改善する事例が見られます。
日本の現場では「どれだけ理解が進んだか」「誤解を生んでいないか」という観点で指標を再設計することが重要です。数値は目的ではなく、健全な関係性を維持するための補助線として扱う必要があります。

失敗③ リスクを恐れ、コミュニケーションが止まっている

公営競技のSNSでは、法令遵守や社会的配慮を重視するあまり、表現が抽象化し、結果として誰にも届かなくなるケースもあります。しかし、安全性への配慮と情報価値は両立可能です。
海外の公的スポーツ団体では、競技の楽しみ方や観戦マナー、適切な距離感を自然に織り込んだ発信が行われています。国内でも、家族連れや初心者向けに施設の使い方や観戦の流れを紹介することで、安心感と興味を同時に伝える事例があります。
また、コメントや投稿を通じた双方向性は、アルゴリズム上も重要な評価要素です。個別返信が難しい場合でも、ファンの声を拾い上げたまとめ投稿や、参加型企画を通じて「対話している感覚」を残すことが、コミュニティ形成につながります。

まとめ

公営競技のSNS運用における失敗は、担当者個人の問題ではなく、環境変化に対する設計更新の遅れから生じます。告知中心から理解重視へ、数値至上主義から関係性評価へ、一方通行から対話型へ。この三つの視点転換により、SNSは単なる広報手段ではなく、信頼と共感を積み重ねる基盤となります。短期的な反応ではなく、中長期での理解形成こそが、これからの公営競技SNSに求められる役割です。