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ショート動画時代に公営競技SNSが苦戦する理由と、視聴維持率で巻き返す方法

ショート動画全盛の現在、TikTok・YouTube Shorts・Instagram Reelsは、公営競技にとっても欠かせないコミュニケーション接点となりました。しかし現場では「レース映像を流しても伸びない」「再生数はあるのにファン化しない」という課題が目立っています。背景には、アルゴリズムの変化と視聴者行動の変容という構造的要因があり、従来の情報中心の投稿では評価されにくい状況にあります。本記事では、公営競技SNSがショート動画時代に苦戦する理由を分解し、最重要指標である視聴維持率を高めて巻き返すための実践策を解説します。

なぜ公営競技のレース映像はショート動画で伸びないのか

公営競技コンテンツが伸び悩む最大の理由は、プラットフォーム側が情報の正確さではなく視聴維持と感情反応を評価軸にしているにもかかわらず、発信が記録中心に留まっているためです。従来のファンは結果データを求める一方、ショート動画を主に視聴する若年層やライト層は、競技の文脈やルールを知らない状態でコンテンツに触れます。そうした層にとって、編集されていないレース映像は、誰が何をしているのか分からない動画に見え、冒頭数秒でスワイプされやすくなります。

アルゴリズムは、この冒頭離脱に極めて敏感です。離脱が早い動画は質が低いと判断され、推薦枠から外れてしまいます。海外のNBAやF1は、結果よりも驚きや没入感のある瞬間を切り取る編集に注力しており、公営競技にもスポーツエンターテインメントとしての魅力抽出が必要です。単なる情報ではなく、視聴者が体験として感じられる編集への転換が求められます。

視聴維持率を改善する没入感とストーリー設計

視聴維持率を上げるために鍵となるのは、ショート動画特有の即時没入とストーリー性です。

まず没入感については、冒頭2〜3秒で視覚・聴覚に強いフックを置くことが重要です。ボートレースの水しぶき、競輪の打鐘、競走馬の蹄のリズムなど、音そのものがコンテンツの魅力となります。ASMR的アプローチは、競技未経験のユーザーにも何かすごいと直感させ、離脱を防ぎます。また、POV(選手視点)映像やスローモーション演出は専門性がなくても楽しめ、世界のスポーツリーグでも視聴率向上の定番手法です。

ストーリー面では、推し活と親和性の高い選手の人間味や努力の裏側に焦点を当てます。レース直前の緊張、勝利後の安堵、悔しさがにじむ表情など、短い時間でも共感を生むシーンは数多く存在します。韓国アイドルや日本のプロ野球のように、舞台裏を見せる手法はファンの情緒的つながりを強化し、公営競技においても視聴完了率の向上に直結します。

コンプライアンスを守りながらクリーンな熱狂を生み出す

公営競技のSNSでは、ギャンブル依存症対策や未成年への配慮など、コンプライアンスが不可欠です。この制約は一見ネガティブに見えますが、ショート動画時代においては安心して楽しめるスポーツというブランドを築く強力な武器になります。

プラットフォームは射幸心を煽る表現を厳しく取り締まり、場合によってはアカウントが制限されることもあります。そのため、儲かる・当たるではなく、驚き・技術・人間ドラマを軸にした編集は、むしろ戦略的に正しい方向性です。健全な情報設計の中で、選手の技術や競技の奥深さを描くことで、この選手を応援したいという自然なファン化を促せます。

このアプローチは応援消費という近年のトレンドとも一致しており、法令に配慮しながらファンを増やす最も再現性の高い方法といえます。公営競技がクリーンな熱狂で再評価されるチャンスは、まさに今です。

まとめ

ショート動画時代に公営競技が成果を出すには、情報伝達から体験伝達へと発想を転換することが不可欠です。冒頭3秒の没入感、ASMR的な音、選手のストーリー、舞台裏の魅力など、視聴維持率を高める要素はすぐに導入できます。また、コンプライアンスを守ったクリーンなブランド設計は、新規層からの信頼獲得にも寄与します。まずは自社アカウントの動画を振り返り、視聴者は次の3秒も見たくなるかを基準に改善を始めてみてください。