ルナルナに見るビッグデータの活用方法
「ビッグデータ」という用語が話題になった当時、IT企業が次なるセールス用語として発明したバズワードにすぎないと批評していた記事もあったなか、その根拠なき批判はあっけなく崩れてきた。
特にエムティーアイ社のビッグデータの活用事例に注目したい。
健康情報サイト『ルナルナ』では、ユーザーのビッグデータを活用することで、従来定説となり広く世間に認知されるオギノ式の排卵予測ではなく、ユーザーの生データをもとに排卵予測日を算出している。自社の情報資源を活用したサービス展開に成功している好例だ。
そもそもオギノ式自体がデータをもとに見出されたパターンであるのだから、膨大なデータ処理能力を実現するハードウェアと、集積されたデータを活用しようとするコンセプト「デックデータ」の概念が組み合わさり、構築された新たなパターンが、オギノ式と異なる答えを出したとしてもまったく不思議でない。「ビッグデータ」の真髄は、蓄積された情報を経営資源として有効活用するところにある。
ではどうすれば有効活用できるのだろうか?
これは多くの識者に散々語られてきた議論だが、ビッグデータをビジネスモデルに組み込むには、自社が持つ経営ソースや膨大なデータに対していかなる価値を見出し付加価値のある情報へ変換するのか?さらにどのようにマーケットに適合させるのか?といった2つのプロセスが重要となる。
例えば大阪ガスの在庫管理効率化や、全日本食品のPOSデータを元にした最適クーポンの発行など、両社のプロセスを見るととても分かりやすいモデルになっているので、ぜひ参考にしていただきたい。
さらなるステップとして、情報そのものを扱うビジネスモデル設計者は、ICTの発展については常にチェックし、情報の入手手段やインターフェースについても検討を行い、既存ビッグデータのから価値を見出すプロセスから、積極的なビッグデータの保有と活用の時期となっていることを理解する必要がある。日本はセンサ大国で世界の1/4のセンサを利用していると言われているが、一方で、北米と比較したときに情報蓄積量は1/10であるとのレポートもある。
今後、情報リサーチ・マーケティング・メディア・エンターテイメントといったような情報産業では、特に、既存のインターフェイスに囚われずに、積極的なビッグデータの保有と価値付け、マーケティングへの適合という、3つのプロセスを意識することになるのではないだろうか。