インスタフォロー数上位アカウントから見るインスタとフェイスブックの使い方の違い 【ANA】篇
インスタフォロー数上位企業のアカウントを軸に、インスタとフェイスブックの使い方の違いや戦略を考察します。今回のテストケースはANA(全日空)。ANAのインスタフォロワー数は28.4万人、Facebookのファン数は約180万人(18年7月時点)。
インスタグラムのフォロワー数はそこまで多くはありませんが、インフラ系サービスの中ではトップクラスの獲得数です。
■Facebookを初期から有効活用していたANA
ANAはFacebookの公式アカウントをかなり早い段階から開設し、戦略的に運用しておりました。2011年に開設後、数多くの投稿を行なっていた同社は、その投稿内容がソーシャルコミュニケーションの模範的なアプローチが多く、ソーシャルマーケットの黎明期によく参考として取り上げられたものです。その内容は、主に”裏側”や”社員”、”風景や旅先”といったものとなっており、自社キャンペーンやプロモーションの場ではなく、意図的にユーザーとのコミュニケーションを狙った投稿が多くなっています。
渡航先へ向かうための「交通手段」である航空業界は、極論どの会社を選んでも得られるメインのベネフィットである「現地へ行く」という要素は変わりません。LCCという格安ジャンルは生まれましたが、価格とコストパフォーマンスのバランスにおいてはどこの企業も大きな差はなく、「ファンかどうか」が大きな判断基準になることは想像に難くありません。Facebookはまさにそんなイニシアチブをとるのにうってつけだったわけです。
■一方のインスタグラムの価値は「あこがれ」
一方で、インスタグラムの方は投稿に裏側は出てきません。大半が「空からの絵」「渡航先のワクワク感」を意識したつくりになっており、Facebookとは違う狙いが見え隠れします。実際にANAマーケッターがインタビューに答えている記事を拝見すると、その狙いは「恋人感」でした。若い女性向けに、恋人との旅行を連想してもらう。そんなコンセプトがインスタグラムにはこめられていました。
Facebookとインスタグラムはよく似ているメディア・同内容の同時展開という捉えられ方をしますが、ANAの事例のように、それぞれにターゲットを見据え、インサイトに沿ったコンセプトを形成することは今後重要になってくる動きかもしれません。