マーケターが陥りやすいペルソナの罠
日々、マーケターとしてどのようなコンテンツがユーザーの心に響くのかということを考えていると、思わぬ落とし穴に嵌まる事があります。
ユーザーの心に響くコンテンツを作成するために”ペルソナ”をしっかりと定義し、”ペルソナ”の心を掴むコンテンツを作成するというのはコンテンツマーケティングの王道です。しかし、この王道ともいえる手法に罠が潜んでいるのです。
※今回のコンテンツマーケティングの考え方は、エンゲージメントを高めるためのコンテンツマーケティングではなく、ユーザーを惹き付けるためのコンテンツマーケティング・ペルソナ設計の考え方です。
ペルソナをしっかりと定義すればするほどコンテンツがニッチになり、将来のユーザーを制限してしまう側面がある、ということです。
例えば、高級化粧品会社を例にとってみましょう。
通常であればペルソナが詳細になる分、反応率は高くなっていくと考えられます。しかし「モデル××が愛用している○○な情報」と表現したところで、全女性の何%がその雑誌を見ているかはわかりませんし、高級化粧品を買う人の中には仕事をしていない方もいるかもしれません。
ペルソナを詳細に定義することで、「ペルソナの反応率が上がる」一方で「ペルソナに合致しない一定数のユーザーを取りこぼす」事になってしまう事を認識しておく必要があります。
事業やサービスが成長期を超えてコアユーザーを醸成していくフェーズの場合は、このようにペルソナを細かく定義して心に響くコンテンツを作成することが重要です。しかし「ユーザーを増やす」フェーズである事業やサービスの場合には、ペルソナを絞り込みすぎる事に対しての弊害、すなわち心に響くコンテンツを作ろうとペルソナを詳細に設計した結果、「新規ユーザーの獲得」がおざなりになってしまうことがあります。
では、ペルソナは設計しないほうが良いのかと言うとそうではなく、ペルソナは「その人自身が持っている特徴の一部」と捉えると良いでしょう。
先ほど挙げた例の場合、高級化粧品を購買する方の中には週に1度女子会を開いている方が多いかもしれませんがカフェに行く人もいますし、女子会もしないカフェにも行かない20代の女性がいる事もあります。また、30代の女性でカフェには行かないが該当の雑誌を読んでいる事もありますので、ペルソナで定義した要素についてのコンテンツだけを配信し続けてしまうと、どうしても限定的な内容になってしまいます。
ペルソナを作成すると「ペルソナ」という人物がいるかのように錯覚をして、その人物に対してのマーケティング活動に注力してしまう事がありますが、ペルソナの実体は一人ひとりの人間の集合体ですので、ペルソナで定義されていない要素についてもコンテンツ化する意義がないか検討しておく必要があると言えます。