AIが実現するマーケティングの姿 WEBバナー編
近年のWEB広告ではターゲットのセグメント化が進み、1to1コミュニケーションが広がってきており、それに応じて広告表現もどんどん細分化していく傾向にあります。
さらに、限られたスペースで表現が限定されるWEBバナー広告においては、当初効率が良かったものであっても飽きられればすぐに効率が悪くなり、切り替えサイクルも早い傾向にあります。多くのWEB担当者は、バナーのABテストに多くの時間を割き、どのバナーの効率が良いか、磨耗はしていないかなど、日々アンテナを張っており、膨大なバナー数を運用することになっているでしょう。
そんな中、大手広告代理店がAIを活用してバナーを自動生成してくれる魔法のようなツールを提供開始しています。
ここでは、5秒に1枚のバナー生成が可能な、電通提供の「ADVANCED CREATIVE MAKER(以下ACM)」を例にとって説明します。
ACMは大きく二つのAIを搭載。
一つ目のAIは、どんなバナーにすべきかを人間の代わりに考えてくれるAI。
バナー広告を構成しているのは、テキストや画像素材、レイアウトや色などのクリエーティブ要素。
AIはこれらのクリエーティブ要素とCTR(広告表示回数に対してクリックされた割合)との関係性を過去のデータから学習しており、オリエン入力に応じて適していると思われるクリエーティブ要素の候補を考え出します。
学習のところでは、ディープラーニングを使用しているようです。
次に、選り抜きのクリエーティブ要素を使って、ACMがいろいろな組み合わせのバナーを大量に生成。例えばコピーの文字色と背景色が同じ色になってしまっていても、お構いなし。細かいことは抜きにして、とにかく大量のパターンをもくもくと生成します。玉石混交のバナー広告がおよそ数千、数万枚。人間にはちょっとマネできない、コンピューターならではの作業です。
二つ目のAIは、出稿すべきバナー広告を選別してくれるAI。
出来上がったバナー広告の一つ一つについて、AIがCTR(クリック率)予測を行います。
効果が高いと予想されるバナー広告から順にランキング形式でリスト化されるので、ユーザーは上位の中から良さそうなものをいくつかチョイス。最後はデザイナーが人間の目で見て確認。必要に応じて修正を施し、出稿できるバナーに仕上げることができます。
現在では、全てAIに頼るだけでなく、最後は人が介在しクリエイターの知見を組み込むことで最適なものに仕上げているようです。
今後、AIの学習が進み大量のデータが整えば、人が介在することなくAIがデリバリーまでこなす日が来るかもしれません。