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なぜ今ローカル文脈が重要なのか 競馬SNSにおける地域性の活かし方

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デジタルシフトが進む現在、公営競技、とりわけ競馬のSNSマーケティングでは「ローカル文脈」の重要性が再評価されています。全国どこからでもネット投票が可能になった一方で、SNS上ではレース結果や開催告知といった全国一律の情報が急速に埋没するようになりました。

特にZ世代やミレニアル世代のユーザーは、勝敗や金銭的リターンよりも「その場所でしか味わえない体験」や「背景にある物語」に価値を見出す傾向を強めています。今、競馬SNSに求められているのは、情報の網羅性ではなく、文脈の具体性です。

本記事では、なぜ今ローカル文脈が競馬SNSの成果を左右するのかを整理し、地域性をどのように戦略的に活かすべきかを解説します。

地域資源をデジタル資産へ転換する「場の価値」の再定義

結論として、競馬SNSではレースそのものではなく「競馬場という場の体験」を主役に据えることが重要です。なぜなら、ネット投票の普及によって馬券購入という行為はコモディティ化し、レース情報だけでは差別化が難しくなっているからです。

現在のSNSアルゴリズムは、ユーザーの滞在時間や保存、共有といった行動を重視します。そのため、競馬場周辺の風景や季節感、現地ならではの空気感を伝える投稿は、単なる告知よりも評価されやすくなります。海外では、競馬場を観光地として捉え、グルメや景観、地域文化を視覚的に発信することで、新規層の獲得に成功している事例が見られます。

国内でも、高知競馬の夜間開催や、帯広競馬場のばんえい競馬のように、地域固有の特徴を前面に出した発信は、競馬ファン以外へのリーチを広げています。日本の現場では、競馬を「賭けの場」ではなく「地域エンターテインメントの一部」として再定義する視点が、SNS成果を左右します。

ご当地ヒーローとしての競走馬と関係者の物語設計

次に重要なのが、地域に根差した人や馬の物語を継続的に発信することです。地方競馬には、中央競馬とは異なる、地域密着型ならではの人間関係や歴史があります。これらは、量産型のコンテンツでは代替できない、極めて強いSNS資産です。

構造的に、SNSユーザーは完成された結果よりも、過程や背景に共感します。厩舎の日常、若手騎手の挑戦、引退馬のセカンドキャリアといった要素は、勝敗を超えた応援の対象となります。過去の名物馬が長く愛され続けた背景にも、こうした物語性がありました。

現場での応用としては、広報担当者が日常的に現場へ入り込み、関係者との信頼関係を築きながら、飾らない日常を切り取ることが重要です。高品質な映像よりも、スマートフォンで撮影された臨場感のある素材の方が、現在のSNSでは高い反応を得やすい傾向があります。

オンラインの熱量を来場体験へ変換するO2O設計

SNS上で生まれた関心を、実際の来場行動につなげるためには、O2Oの導線設計が欠かせません。いいねや再生数だけでは、地域経済への波及効果は限定的だからです。

現在のユーザーは、情報を消費するだけでなく、体験を共有することを前提に行動します。そのため、フォロワー限定特典、現地フォトスポット、チェックイン企画などは有効な施策となります。来場者自身が投稿するUGCは、広告よりも信頼されやすく、新たな来場動機を生み出します。

ここで重要なのは、デジタルとリアルを分断しないことです。SNSは告知ツールではなく、来場前から帰宅後までの体験をつなぐコミュニケーション基盤として設計することで、継続的な関係構築が可能になります。

まとめ

競馬SNSにおけるローカル文脈の活用は、単なる差別化ではなく、持続的なファン形成のための本質的な戦略です。地域の場の価値を可視化し、人と馬の物語を紡ぎ、オンラインの熱量をリアルな体験へとつなげる。この三点を統合することで、競馬は地域に根差したエンターテインメントとしての価値を高めることができます。

全国一律の発信から一歩踏み込み、地域ごとの小さな物語を丁寧に届けること。それこそが、これからの競馬SNS運用に求められる視点です。