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Facebookの「近くの友達を通知する機能」と広告への影響

Facebookが2014年4月に発表した、近くにいる友達を通知する「Nearby Friends」という機能は、日本では掲示板などを中心に批判的な反応で迎えられました。Facebook疲れなどが囁かれている中で、これ以上ユーザーを疲れさせてどうするのかという論調が多いようです。

サービスの詳細を見ると、通知されるのは親しい友達に限られているものの、いちいち友達の居場所を知らせる必要性があるかと言うと、少なからず疑問を感じる面もあります。

Facebook側は、今の時点ではこの機能の収益化について全く考えていないと言う一方で、「例えば、付近の企業や店舗は、将来的に待ち合わせ場所の候補として表示されようとするかもしれない。」と、位置情報を使ったターゲティング広告の可能性を示唆しています。

この位置情報を使ったターゲティング広告の歴史を見ていくと、米国でも日本でもモバイル端末における広告の先駆けとして数々の位置情報サービスが生み出され続けており、そしてその多くは成功しているとは言いがたい状況にあります。位置情報サービスとして世界で最も有名なのは、今いる店舗や施設などにチェックインをする「Foursquare」ですが、いまだに収益が好調だというニュースは聞こえてきません。

ではFacebookの位置情報を使ったターゲティング広告はどうなのかと考えてみると、米国ではともかく日本においてはまだ時期尚早ではないかと感じています。

その理由としては企業のネット広告に対する受動的な姿勢が挙げられます。

Googleのリスティング広告は、米国では幅広い層の広告主が利用しており、一般商店の店主までが自らリスティング用の検索キーワードを登録していると言います。翻って日本を見ると、個人事業主が検索ワードを自ら登録する例はそこまで多くはなく、そのほとんどは代理店を通して運用されているケースが多いのではないでしょうか。

位置情報を使ったターゲティング広告が普及するためには、レストランや商店を経営する個人事業主などに広告主となってもらう必要がありますが、日本はまだアメリカほど自らネット広告を取り入れていこうとする広告主はいないのです。

一方、国内でも雑誌方面ではそのような個人事業主を束ねたローカル広告モデルで成功している例は見られますが、それは広告主側が起こしたアクションの結果ではなく、雑誌媒体側の地道な営業活動の成果と言えます。

そのような理由から、日本で位置情報を使ったターゲティング広告が普及するには、代理店による啓蒙活動が必要だと考えられますし、それによって広告主の意識が変容するにはもう少し時間がかかるのではないかと思われます。
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