Facebookの躍進!Googleとの広告対決が鮮明に
FacebookのAPIを使って構築されたアプリは約34,000以上にものぼると言われていますが、そのうち同社が作成したのアプリはわずか8つしかありません。しかし、これらのアプリは同社の方向性を示唆しています。
現在Facebookは、AndroidとiOSの両方で使用できる「Facebook(Facebook個人用)」「Messenger(メッセージ管理用)」「Facebook Pages Manager(ページ管理用)」という3つのアプリを提供しています。
その他にもAndroid向けに提供している「Home(携帯のホームをFacebook化)」と「Slingshot(自動消去型の写真共有)」、iOS向けに提供している「Mentions(著名人用の管理機能)」や「Paper(コンテンツリーダー)」などのアプリがあり、先月も新たに「Rooms(匿名チャット機能)」というアプリをリリースしています。
その中でも「Slingshot」や「Rooms」などのアプリは、他社製アプリの「Snapchat」や「Whisper」のコピーだという批判されることがあります。確かにFacebookのこうしたモバイルアプリはそのアプリ単体で他社との差別化を狙っているとは考えにくく、Facebookが提供するサービス全体でユーザー数や広告のシェアを獲得することを目指していると考えた方が自然です。
その成果もあってか、ニューヨークのピボタル・リサーチ・グループの調査によると「2014年の第2四半期において、有料検索も含めたすべてのオンライン広告の成長のうち、52パーセントをFacebookが占めた」という驚くべき結果が出ています。
さらに2014年度第3四半期の広告収入は29.6億ドルで、前年比59%もアップしています。同社はモバイル広告の数字を明らかにしていませんが、収益全体の約3分の2ほどを占めていたのではないかと推測されています。この状況についてFacebookのシェリル・サンドバーグCOOは「モバイルプラットフォームへのプッシュがうまく機能していることを、同社の強力な第3四半期が示している」と分析しています。
こうしたFacebookの快進撃を支えている要因のひとつとして、広告の計測技術に戦略的にリソースが投下されてきたことは注目すべきでしょう。
Facebookは昨年、Microsoftから「Atlas」という広告配信テクノロジーを買収していて、今年の9月にはその新しいバージョンを投入することを発表しています。この「Atlas」は米Google傘下のDoubleClickと競合する広告プラットフォームで、今回の新バージョンではマルチデバイスの計測や、オフラインのデータと関連付けて広告の効果を測定できるようになるようです。
今年の5月にはGoogleがユニバーサルアナリティクスの正式版をリリースして「ブラウザ単位」から「個人単位」の計測を強化していることをご紹介しましたが、Facebookによる「Atlas」のバージョンアップはまさにこれを追う動きとして捉えてよいでしょう。そうした動きや最近の成長力を勘案すると、今後はFacebookとGoogleによる広告を巡る競争がますます過熱していきそうな予感がします。