伝える「場所」を工夫してメッセージの魅力を高める
企業は自社のブランドイメージを伝えるために、コンテンツやソーシャルメディア、広告などを使ってメッセージ性を帯びた情報を発信することがありますが、メッセージはそれを「伝える場所」によって、魅力が大きく変わるのをご存知でしょうか。
たとえば、スキンケアブランドのニベア(NIVEA)が海底に設置した広告。メッセージ自体は「ニベアの日焼け止めを使って下さい」という極めてベーシックなものですが、それを「海底」に設置することで、海で泳いでいる旅行者だけにメッセージを伝えることができるとともに、まるで海底からのメッセージが発せられているような面白い風景を作り出すことに成功しています。
当然、こうしたメッセージを海中にたくさん設置するのは難しいので、直接メッセージを受け取れる人数は限られてしまいますが、その活動の希少性を極端に高めることでニュースとして取り上げられやすくなり、メディアによってより多くの人に情報を届けることができるのです。
また、家具販売大手のイケア(IKEA)が展開している「スキマギャラリー」も面白いアプローチを行っています。
都心の街中には「階段の下」や「建物と建物の間」など、利用されていないちょっとした空間が数多く存在しますが、そうした場所を「スキマ」として活用し、イケアの家具を置いて隙間空間をプロデュースするというもの。
そこに置く家具は全てIKEAの商品なので、これをIKEAの店舗内で見せられると、よくあるショールームの商品陳列に過ぎないのですが、原宿の街中にある「スキマ」に配置することで、狭い場所でもイケアならオシャレに見せることができるというメッセージが伝わってきます。
ニベアの例と同様に、「スキマ」に置いたメッセージは大通の広告のように直接多くの人に見てもらえる訳ではありませんが、思わず立ち止まって見入ってしまうような非日常的な魅力を醸し出しており、誰かに伝えたいと思わせるような話題性を作り出すことに成功しています。
このように、企業から何か伝えたいことがある場合、伝えるべきメッセージの「文言」を工夫するのはもちろんのこと、メッセージを伝える「場所」という視点で考えてみると、より魅力的なメッセージになるかもしれません。