Facebookが匿名ログイン機能を提供する理由
Facebookがデベロッパー向けのカンファレンスで発表した内容の中から、今回はAnonymous Login(匿名ログイン)という機能について取り上げてみます。
匿名ログインとは、アプリやウェブなどのサービスにFacebookアカウントを用いてログインする際に、Facebook側の情報をアプリ側に引き渡すことなく、お試しでログインできる仕組みです。
皆さんはスマートフォンに会員サービス系のアプリをインストールして使う場合、自分のメールアドレスを登録してパスワードを設定することが多いでしょうか?
今ではログインを必要とするサービスのほとんどが、FacebookやTwitterのアカウントを用いてログインできる方法を用意していますので、おそらくそのようなケースは少ないのではないかと思います。しかし、Facebookでログインする際は「○○(アプリ名)が以下の情報にアクセスする権限を求めています」といったような表示を目にしますね。
これは、Facebookのアカウントを使ってログインすると、自らの個人情報をサードパーティーに公開し、かつサードパーティーのアプリがフィードへ投稿することを認めることになるのです。
この結果、スパム的なアプリの登場によって、自ら覚えのない書き込みがフィードに投稿されているという事象が多発しました。しかも、Twitterと違いFacebookは実名制のサービスなので、そういった被害にあった時のダメージはTwitterよりも遥かに大きいのです。
そのため多くのサードパーティーは、Twitterアカウントをメインにログインさせていたのですが、2012年に「そういう使い方ができるのは、10万アカウントまで」というルールをTwitterが設けてしまったため、Facebookによるログインに切り替えざるを得ないサードパーティもでてきました。
しかし、先述したように、実名のFacebookで情報流出などの事故が起こった際はダメージが大きいという問題があり、「FacebookログインとTwitterログインのどちらが好ましいか」というアンケートでは8割近くのユーザーが「Twitterログインが好ましい」と答えたという結果もあるようです。
このことからも、今回の匿名ログイン機能は、実名制のリスクを把握しているリテラシーの高いユーザーたちが、サードパーティーのアプリを使うことへの敷居を下げる効果があると言えるでしょう。