TOYOTAの生産方式に学ぶコンテンツのカイゼン方法
徹底的に無駄を排除し生産効率を最大化するトヨタ自動車の生産方式「カイゼン」は、小さく始めて大きく育てる方式でベンチャー企業の成功確率を上げる「リーン・スタートアップ」に展開されてきました。そして今、リーン・スタートアップの考え方はコンテンツマーケティングにも応用できるのではないかと期待されています。
コンテンツマーケティングの難しさのひとつに、顕在化していない読者のニーズを先読みしなければならない点があります。読者が興味を示すかどうか分からないテーマについて予算をつぎ込んでも、効果がまったく得られないかもしれません。不確実性の高い新規ビジネスを成功させるという点に関して、コンテンツマーケティングとリーン・スタートアップには共通点が多いのです。
ではコンテンツマーケティングで「カイゼン」行うにはどうしたら良いのでしょうか。
大きく三つのステップから成り立ちます。
一つ目のステップは評価指標の決定です。
Webサイトの目的やターゲットとするユーザー層に応じてコンテンツマーケティングの目標も変わっていきますが、それに合わせてコンテンツを評価する定量的な手法を見出します。
例えば、Googleアナリティクスを用いれば一つの記事あたりに訪問者が費やした滞在時間を計測できます。ソーシャルメディアでは記事に「いいね!」された数をカウントできますし、好意的・否定的なコメントの数を測ることも可能です。厳選した評価指標を策定し、自社のターゲットに合わないコンテンツにコストや時間をかけ過ぎないようにするのが「カイゼン」の第一歩です。
二つ目のステップは最小単位でのテストの実行です。
リーン・スタートアップはMVP(検証可能な最低限の機能を持った製品)を作成し、顧客の反応を確認しながら反復的な開発を行い、顧客の潜在ニーズから離れないようにするのが特徴です
。コンテンツマーケティングでも同様であり、新しいテーマについての記事を掲載する際には特に、顧客の反応を早めに確認する必要があります。例えば、数行程度のコンテンツを作成し、Facebook広告として特定のユーザー層に投稿すれば、最低限の時間とコストでコンテンツの効果を確認できるでしょう。
最後のステップはテスト結果の活用です。
最小単位のコンテンツでユーザーの反応を確認できた後は、テーマの方向性を変えるのか、そのまま規模を拡大し反復的にコンテンツを増やしていくのかを決定します。ここで注意する必要があるのは、コンテンツに対する効果や反応が悪かったのを「失敗」と捉えてはいけないという点です。
リーン・スタートアップにおける失敗は「間違った方向に大規模な投資をしてしまう」という点であり、誤りに早い段階で気づいて正す試みは失敗ではありません。小さな失敗を繰り返しながら行う「カイゼン」活動は、貴社のコンテンツマーケティングを成功させるための助けとなるでしょう。
著者:Takayuki Sato