Twitterがグニップを買収した背景
Twitterが、ソーシャルメディアデータの提供サービス会社であるグニップ(Gnip)の買収を先月発表しました。
グニップ社はフォーチュン500社のなんと90%以上に対してソーシャルメディアのデータ提供を行っており、業界の最大手と見られます。
グニップはTwitter、YouTube、Tumblr、Instagram、Foursquare、Disqus、WordPressなどのウェブサービスからデータの提供を受けており、それをIBM、アドビシステムズ、Microsoft、Oracle、Salesforceのようなパートナー企業に対して提供することで売上をあげています。
それらのパートナー企業経由から多くの顧客企業やディベロッパーにソーシャルメディアデータを提供していますので、マーケティング系のニュースなどでもなかなか取り上げられることが少ないため、名前を聞いたことがない方も多いかもしれません。
Twitterは今回の買収について、GnipとTwitterの既存の公開APIを介してさらにデータプラットフォームを拡大させて行くと述べていますので、Gnipの顧客企業はもちろんTwitterのディベロッパーにも恩恵がありそうです。
また、Twitter自身はグニップ社が持つソーシャルメディアデータを扱うノウハウを活用することで、新たなマネタイズの模索やR&Dとして利用するのではないかという見方があります。Twitterのライセンス事業による売上は全体の10%程度にしか過ぎないため、このあたりを強化してくることも十分に考えられそうですね。
さらに別の側面から注目されるのは、現在グニップにデータを提供しているYouTubeやTumblrなどのウェブサービスが、今後もグニップ(実質的にはTwitter)にデータを提供し続けるかどうかでしょう。この点については現在どのような契約や交渉があるのかは分かりませんが、多様なウェブサービスのデータを提供できることがグニップの大きな魅力なので、ぜひ継続しながら拡張して行ってもらいたいものです。
いずれにせよ、今後のTwitterの動きや他のソーシャルメディアデータ提供会社の動向を注視しておいた方が良さそうです。