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人工知能はコンテンツ制作者になれるのか?

人工知能技術の発展は目覚ましく、最近は日本企業においても導入事例が見られるようになりました。

つい先日も伊勢丹が人工知能「SENSY」による接客サービスを開始することが発表されましたが、こうした潮流はWEBのコンテンツ制作においても例外ではなく、人工知能の波が押し寄せてきています。

例えば、AP通信はコンテンツ生成ツールを利用して、学生スポーツに関するニュース記事を自動で作成する計画を発表しました。また、Forbes誌は人工知能が執筆した企業決算記事を掲載している他、Los Angeles Times紙ではロサンゼルスで地震が発生した数分後にコンテンツ生成ツールによって記事を執筆したという例もあります。

人工知能がコンテンツ制作を行うのに適した分野には特徴があります。企業決算やスポーツの結果のように、定型的なデータに基づいて情報を処理する際にはコンピュータの使用が適しています。データを処理するスピードにかけては、人間はコンピュータに敵いません。

あらかじめ文章の雛形を決めておき、最新情報と共に過去の膨大な資料を検索することで必要な情報を特定し、数秒・数分の内に記事を執筆することが可能になるのです。文法や業界特有の言い回しについても、過去の資料から人工知能が学習するので、人間が読んでも違和感のないコンテンツが生成できます。

一方で、人工知能が不得手にするのが、非定型的な情報からコンテンツを作成することです。一概に良し悪しが決められず、多様な意見が認められるトピックや個人の意見・感想を取り扱うのは人工知能には難しいと言われています。また、過去のデータが存在しない新規のテーマや、創造性を必要とする小説のような文章を人工知能が作成するのは困難があります。読者の気持ちに立って、読者が求めるであろうコンテンツを企画・制作するのはまだまだ人間に分があります。

コンテンツマーケティングにおいてコンテンツを作成する場合、多くはソーシャルメディアによる共感を狙って人間の感情に訴える必要があるので、ほとんどの場面では人間が作成せざるを得ないのが現状です。例えば、新製品の導入に際して障壁になるのは新しい技術に対する「不安感」であったり、購入を後押しするのは他社事例を参照することで得られる「安心感」であったりします。

ベンチマークを集計して人工知能によって定型データで興味を喚起したとしても、感情的に後押しされる要素がなければ意思決定に踏み切りずらいこともあるでしょう。コンテンツ制作においては時代背景、製品やサービス、読者の役職や部署といった多くの要素を考慮した上で、感情に訴えかける取り組みが求められています。

ツールは常に人を助けるためにあります。人工知能と仕事を奪い合うのではなく、人工知能と共存することで生産性を上げる方法を考えるのが正しい方法です。定型的なデータを即時に発信するコンテンツは人工知能に任せ、感情を考慮した付加価値の高いコンテンツは人間が作成するというのが、これからのトレンドになるのではないかと考えられます。

著者:Takayuki Sato
参考資料:WIRED