コンテンツマーケティングへの投資を増やす北米企業
自社のサイトへのアクセス数をいかに上げるかという課題に対して、多くの企業が講じてきたSEO対策。ユーザーが検索エンジンでキーワード検索した際に、数ある情報の中から自社のサイトが検索結果の上位に表紙されるように、専門会社に依頼して対策を行うのが一般的でした。
ところが、こうしたSEO対策は従来のような効果が得られないと言われるようになりました。Googleは、これまで被リンク(どれだけリンクされているか)重視の評価を行ってきましたが、コンテンツ重視への評価制度へとポリシーを転換し、検索キーワードにでマッチした優良なサイトが上位表示されるように、アルゴリズムを変えてしまったのです。
結局、企業は自分たちが発信する情報がユーザーにとってより有益なものとなるように、サイトの中身をしっかり作ったり、ソーシャルメディアの拡散力などを用いて、ユーザーの役に立つような記事を書いたりすることによって、ファンを集めなければならなくなりました。
日本でもずいぶん耳にするようになった「コンテンツマーケティング」とは、まさにこの考えに基づいてユーザーとの関係作りきちんと行い、その上で企業の利益につながる行動を引き寄せようとする取り組みであり、そういった意味では、サイトのコンテンツ作りがより正しい方向に舵取りがなされたと見ることもできます。
2014年に、アメリカ国内の調査によると、BtoC企業のマーケティング担当者の90%が、すでに「コンテンツマーケティング」を活用していることが判りました。
また、情報の拡散に用いているSNSプラットフォームの利用に関しては、相変わらずFacebookが最も頻度が高く、続いてTwitter、YouTubeという順にあることが判りました。3番手にYouTube、6番手にPinterest、7番手にInstagramなどと、動画や画像に関するメディアが上がっているのは、その視覚的効果がアメリカでは非常に高く評価されているものと考えられます。
ところが、その一方でこれらのメディアの効果について尋ねたところ、そこには大きなギャップがあることも判明しました。利用頻度が最も高いFacebookを見てみると62%の企業は効果があったと答えていますが、同時に32%は効果が低かったとも答えており、その効果について懐疑的である企業が一定数存在するという事実も忘れてはなりません。ただメディアとしてFacebookを利用さえすれば良いということではなく、やはり発信するコンテンツの中身の質が問われていると言えるのではないでしょうか。
ここで重要なのは「コンテンツマーケティング」を利用している企業が、そのゴールをどこに置いているかという点です。同じ調査を見てみると、実に79%がブランドの認知拡大と答えています。ビジネスに欠かせない顧客獲得は2番目、直接的なセールスも6番目にランクインしていますが、3番目のカスタマーリテンション/ロイヤルティ、4番目のエンゲージメントなど、従来のSEO対策だけでは計り知れない結果がここにあるのを見逃してはなりません。自社のコンテンツを通じて、多くの人に興味関心を抱いてもらい、自社のビジネスやサービスへの信頼感やロイヤルティを感じてもらうという、まさに「コンテンツマーケティング」のコンセプトに合った目的設定がなされているのです。
最後に、今後の「コンテンツマーケティング」への取り組みについて尋ねた項目がありますので、それをご紹介したいと思います。
今後1年間に「コンテンツマーケティング」への投資を行うかどうかの問いに対する答えを見てみましょう。15%が確実に増やす、45%が増やすと答えており、28%が現状どおり、減らすと答えたのはたった2%しかありませんでした。実に60%の企業が「コンテンツマーケティング」の有用性を認めていることになります。
今回ご紹介したのはマーケティング先進国アメリカの調査であり、日本ではまた違った結果になるのは間違いありませんが、ウェブマーケティングの新しい取り組みはアメリカで誕生し、日本には2〜3年は遅れてやってくるとも言われており、日本でも早晩に同じような状況になると言っても過言ではないでしょう。
ブランディングやウェブマーケティングに頭を悩ませている日本の企業にとって「コンテンツマーケティング」が救いの手になるのかどうか。その取り組みを始めるのに、もう迷っている時間はないのかも知れません。