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無印良品に見るユーザー参加型の商品開発

無印良品と言えば、コンテンツマーケティングに積極的な企業として知られています。

FacebookやTwitterなどのソーシャルメディアを使ったマーケティングはもちろんのこと、モノを軸に繋がるソーシャルコマース「my MUJI」を運用するなど、無印良品のコンテンツを見聞きしたことがある方も多いのではないでしょうか。

しかし、無印良品のマーケティングで注目なのはコンテンツだけではありません。
その商品開発においてもユニークな手法を採用していますのでご紹介したいと思います。

無印の大ヒット商品のひとつに、ネット上で「人をダメにするソファ」という別称までついた「体にフィットするソファ」があります。発売後1年半で6万2,288個、10億5,900万円の売上げを記録したというこの商品は、いまだにロングセラー商品として売れ続けています。そして、実はこの商品はユーザーとの共同開発によって生み出された商品なのです。

無印良品にはユーザーの声を開発に取り入れる「モノづくりコミュニティー」というサイトがあります。ユーザーに「こんなものがあったいいのに」という要望を投稿をしてもらい、その意見を元にいくつかの商品の形を提案します。そこでユーザーが投票を行い、人気の高かったものを商品化するのです。

「体にフィットするソファ」は、部屋にソファが置けないが、クッションにソファの機能をつけたらどうか、というアイディアから生まれた商品です。開発の段階では、体をあずける大型のクッションというプランの他にも、リラックス座椅子や背もたれがしっかりたフロアーソファ等のいくつかのプランがありました。そしてプロトタイプをイラスト等でユーザーに提示し、ユーザーの人気投票によって商品の形を絞り込んでいったのです。

「モノづくりコミュニティー」からは、この他にも「寝室で手軽に使える照明が欲しい」という意見から生まれた「持ち運びできるあかり」などのヒット商品が生まれています。商品の開発段階を顧客との共同作業にすることによって共感を生み、顧客目線で開発を行っているのです。そしてこのような顧客参加型の商品開発で重要なのは、顧客に分かり易く丁寧に情報を開示していくということです。

実際にソファの開発行程を見ても、いくつかのアイデアに絞った後にどのプランにどれだけの得票数があったのかを開示し、そして投票してきた人たちがどのような意見を持っているのかを掲載しています。実際のプロジェクト化してからの行程においても、どういう素材をどういう意図で使うことを決定したかなどのプロセスをユーザーに共有しているのです。

ウェブサービスにおいても、ユーザーと作り上げていくことをコンセプトにしたものは今までにいくつか見られましたが、そのほとんどは成功しませんでした。その理由の一つとして情報が可視化されていなかったことが挙げられます。無印良品の事例のように、ユーザーの意見やサービスの仕様が固まっていくプロセスなどを見える化していくことが、共同開発型のサービスに欠かせない要素と言えるのかも知れません。