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購入率より読んでもらう事を重視するECサイトとは?

企業が主力事業を補完するための役割としてオウンドメディアを立ち上げる例はわりとよく見られますが、今回は自社の主力ECサイトをメディア化して注目を集めている「北欧、暮らしの道具店」というサイトを取り上げてみたいと思います。

北欧の雑貨を主に扱うこのECサイトは月間83万のユニークユーザーがいて、Facebookページのいいね数は13万を超えています。
このサイトはなぜこれだけ注目を集めているのでしょうか?

それを考察するにあたり、最近のトレンドとしてECサイトのコンテンツ化が避けられないことを認識しておく必要があります。例えば、ユーザー数が7,000万人を超えると言われる「Pinterest」も、海外のECから美しい雑貨やアパレルなどの写真を集めた感性型のコンテンツメディアと言えます。

国内でも「Sumally」等、感性に訴えかけるコマース系のサービスが生まれていますが、「北欧、暮らしの道具店」が特徴的なのは、写真に限らず読み物系のコンテンツが充実しているということです。実際にサイトにアクセスしてみると「読みもの」というタグがついており、商品のバックグラウンドや使い方等が丁寧に説明されています。例え購入しなくても、インテリア雑誌を眺める感覚で楽しむことができるのです。

この事業を立ち上げた株式会社クラシコム代表取締役青木耕平氏によると、モノを売ることよりは、常にあそこに行けば好みのコンテンツが見られると信頼していることに重きを置いていると言います。ビジネスモデルとしても、商品購入のコンバージョンレートを上げるよりは、トラフィックが大量にあり、コンバージョンはそこそこというモデルを目指しているそうです。ゆえに、サイトのユーザビリティも購入までの遷移をできるだけ減らすというよりは、読み物を楽しめるようにわざと購入ボタンまでの遷移が遠くなっていたりします。

これだけのコンテンツを用意するには、普通にECサイトを運用するよりもかなりの手間がかかっていると考えられますが、全体を最適化するために色々な工夫をしています。人を採用する際、写真撮影、ライティング、スタイリングの実技試験を設けて編集能力に長けた人材を確保したり、ECコマース向けのAPIを利用することにより、開発にかけるコストを下げてメディア化に注力するなどのバランスを取っています。

青木氏も一朝一夕にコマースのメディア化を図ることは難しいと言るとおり、EC自体のメディア化を図るにはいかに全体を最適化をして、メディア化に注力するかという視点が求められるのかもしれません。