YouTubeに見るアノテーションの可能性

動画に文字やリンクなどの情報を埋め込むことを「アノテーション」と呼びます。YouTubeの動画を見ていると突然リンクが現れて見づらいと思ったことがある方もいらっしゃると思いますが、あの機能です。

このアノテーションを実に巧妙に使ってマーケティングを行っている企業がありました。企業向けにバイオテクノロジー事業を展開しているライフテクノロジーズ社です。

まずはこの企業が公開している動画をご覧ください。

一見すると普通の動画なのですが、ホワイトボードに書かれた赤字の部分がクリックできるようになっています。

動画をコンテンツとして見せるだけではなく、動画内の背景にリンク機能を持たせることでナビゲーションの役割も持たせているのです。(正確には文字のまわりを選択範囲で囲ってリンクに指定します)

今回はこの施策にどのようなメリットがあるのかを検証してみます。

 動画に限ったことではありませんが、視聴者すべてが満足するコンテンツを用意するということは難しいですよね。動画を見る目的が微妙に違うこともあれば、動画を見ている途中で目的が明確になったり、興味の対象が変わったりすることもあります。

そして、多くの企業はこうした人たちに対して同じ動画を一律で見せています。

これでは途中で見るのをやめてしまう人も出てきますし、動画を埋め込んだページにメニューリンクが用意してあったとしても、動画を見ている最中にユーザーの視線をそれらのリンクに誘導することは難しいでしょう。

しかし、動画の中に視聴の妨げにならないようなリンクが用意されていたらどうでしょうか。ユーザーの視線は動画内に引きつけたまま、再生している動画への興味が薄れたタイミングで適切なコンテンツへと誘導できる可能性があります。

 こうしたアノテーションの手法は、企業向け商材の購入を検討している顧客が情報収集に非常に多くの時間をかけるようになってきている、現在の潮流に沿ったものと言えます。インバウンドマーケティングの統合管理ソフト「Hubspot」の共同創始者であるBrian Halligan氏も、営業活動に占めるマーケティングの割合が非常に高まっていると述べています。

「私は90年からセールスパーソンとしてキャリアを始めました。あのころは営業プロセスの全てを販売員がコントロールしていました。知らない顧客にテレアポして営業プロセスの全てを管理していました。情報の非対称性があります。販売員は見込み客が求める情報の全て、価格や割り引きも含めて、を持っていました。とても多くをコントロールしていました。しかし今はその90%はマーケティングに持っていかれました。セルフサービスであり、営業プロセスの最終局面にたどり着くためには顧客にとって非常に有用でなければなりません。ゲームは大きく変わったのです。」

以前は販売員が行っていた「適切なタイミングで適切な情報を提供する」といったことが、WEBサイトにおいてはメールマーケティングやレコメンドエンジン、アドテクノロジーなどの手法により何年も前から既に行われています。近年ではFacebookやTwitterなどのソーシャルメディアでもそのインタラクティブ性を活かして行われるようになりました。

冒頭に紹介したアノテーションによる手法もまさにその延長線上にあるものですが、これからの動画には今回のようなナビゲーション的な要素など、従来よりも広範な機能が求められていくのではないかと考えられます。

・参考資料
アノテーションとは